ニューヨークの蛍
2008年 09月 15日
今まで蛍が身近にいる環境で生活したことがなかった。蛍を見たのは栃木の田舎で一度だけだ。こちらに来て初めての夏、夕方にリバーサイドパークに行き、蛍がいっぱい飛んでいるのを見て子供のようにはしゃいでしまった。公園の中ではバーベキューパーティーをやっていたが、人が大勢いるところでも蛍は平気で飛び回っている。
リバーサイドパークには姫リンゴの木があり、夏になるといっぱい実をつける。この大都会のニューヨークで、姫リンゴをつまみながら蛍見物ができるとは思ってもみなかった。
7月の半ば、セントラルパークのグレートローンで恒例のニューヨーク・フィルのコンサートがあった。初めての年は張り切って早めに行き芝生に場所を確保したが、いざコンサートが始まってみると、周りの人はうるさいしスピーカーの位置のせいか音楽がよく聞こえない。それに懲りて次の年からはココの散歩がてら聞きに行くようになった。
今年は人が多い。グレートローンはもういっぱい。周りの池のほとりの芝生、松林の中まで人があふれている。暗くなって蛍が飛び始めた。大勢の人がいてもお構いなし。むしろ喜んで人の周りを飛んでいるみたいだ。人の方ももう慣れっこになっていて別に気に留める風でもない。
私はグレートローンの脇の方、音が良く聞こえ、ステージも少し見える場所に立ち、コンサートを楽しんだ。ココはと見れば、伏せをして尻尾を振りながら聞いて(?)いる。
プログラムの最初はランランのピアノでチャイコフスキーのピアノコンチェルト。指揮はニューヨーク・フィルのバイオリニスト建部洋子さんの息子さんのアラン・ギルバート。ランランは真っ赤なピアノを弾いていた。1楽章のカデンツァまで聞いてその場を離れた。
チャイコフスキーをかすかに聞きながら、蛍の飛び交う並木道を歩いて帰ってきた。
今年の夏は毎日のように、夕方涼しくなってからココとセントラルパークに行き、芝生に座って本を読んで過ごした。暗くなってくると蛍が飛び始める。それが帰宅の合図。本をたたんで家路に着く。
日本では蛍が減っているという話をよく聞きますが、NYの蛍は生命力が強いのでしょうか。