ロミオとジュリエット
2009年 07月 11日
5月半ばから続いたABTのメトロポリタン歌劇場での公演も今週のロミオとジュリエットで終わりとなる。
今日の席はドレスサークル(4階席)の少し左より。プロコフィエフ作曲のこのロミオとジュリエットの曲が大好きなので、オケピットの中が見える席にした。
席からの眺めはこんな感じ。→
今日の主役はロミオが地元ロングアイランド出身のCory Stearns、ジュリエットは韓国人のHee Seo。2人ともPrincipalではなく、SternsはSoloist、SeoはCorps De Ballet(所謂その他大勢)。Principal以外の人が主役を踊ることもあるのだ。この配役の日を選んだのはNさんのお勧めによる。ABTの人もお勧めとのこと。
結論から言うと、とても良かった。インターミッションが2回入る3時間の長丁場だったが、飽きることなく愉しめた。
白鳥の湖やジゼルと比べると物語の比重が大きい。バレエも技巧的な踊りというよりは感情を身体で表現するという要素が大きい。愛の表現、嘆きの表現などが真に迫っていた。また、所々にユーモアのある踊りもあって楽しかった。
それとやはり音楽が素晴らしかった。バイオリンがものすごい速さで弾きまくる箇所があるが、これは戦闘シーンに使われる。剣が合わさる音が音楽のリズムにぴったり合い、まさに音楽とバレエが一体となってすごく迫力があった。
不協和音が随所で効果的に使われている。バレエと組み合わさると、その不協和音が生きてくる。プロコフィエフは天才だ。
舞台でマンドリンが使われる場面があるが、オケはビオラの人が持ち替えで演奏する。バイオリンとマンドリンのデュエットがとてもきれいだった。ビオラの半数がマンドリンに持ち替える時もある。ビオラの人は大変だ。オケピットの中が良く見えて面白い、この席にして正解だった。
また、サクソフォーンが所々で活躍していた。
主役の2人の新人の踊り、若々しく初々しくてとてもよかった。バルコニーのシーンではチェロのSoli(パートソロ)に合わせてダンスで愛を語り合う。うっとりした。
最後に死んでしまったジュリエットを抱えながら嘆き悲しんで踊る場面は悲壮感が出ていてとても悲しくなった。
終わりの場面が印象的。ジュリエットが大きくのけぞりながら死んでしまう。一旦幕が閉じ、しばらくして幕が開くとまだその状態を保ったままだった。
ところで、教会の場面で修道士が出てくるとなぜか観客から拍手とブラボーの声が上がった。この方、いったい何者?と思っていたのだが、カーテンコールのときに主役の2人から彼に花束が渡されたり、上から風船がいっぱい落ちてきたり、彼の何かのお祝いをしている風だった。帰ってからインターネットで調べたら、この方は元プリンシパルのFrederic Franklin。この日が何と95歳の誕生日とのこと。踊らないとは言っても95歳でステージに立てるとは! 調べたらFrederic Franklinはかなり実績のある有名なダンサーだ。
未来のPrincipalたちと、偉大なる元Principal。ABTの心憎い演出だった。
会場は上野の文化会館。
パリオペラ座のエトワール・マニュエル・ルグリやオレリー・デュポン、ニコラ・ルリッシュ、英国ロイヤルバレエのプリンシパル・アリーナ・コジョカル
やタマラ・ロホ、ABTのカレーニョのお姿も。
さらにベルリンのマラーホフ、ポリーナ、ロシアのザハラワ、ヴィシニョーワ、オーストラリアからもと文字通り、世界各地からプリンシパル陣が一堂に集結。東京でのバレエの祭典に出演。
開演は18:00。各場面でそれぞれにカーテンコールがつくので終演21:30かな??の長丁場。
そして、ダンサーは気軽に上野駅から電車でホテルにご帰還。
文化会館辺りをウロウロしていたら、さっき出演していたダンサーが出てくる出てくる。サイン攻めにあっていたけど、全身足というスタイル、素顔が皆ステキ。
舞台とはまた、違う意味で、思わず、見とれた一瞬だった。
で、日本で、ニーナが公演しますわ。
電車でご帰還というのがいいですね。それが彼らのスタイルなんですね。
ダンサーの人たちは皆サービスがいいし、ファンを大切にしますね。
全身足を間近で見てみたい。